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中退共に入っていた会社が廃業したら?従業員の退職金と手続きを解説

従業員の退職金を積み立てる制度として、中小企業退職金共済(中退共)に加入している工務店は少なくありません。毎月の掛金を事業主が負担し、従業員が辞めるときに退職金として支払われる仕組みです。

では、会社そのものが無くなる廃業のときはどうなるのか。積み立ててきた掛金は事業主に戻るのか、それとも従業員のものなのか。ここを誤解したまま資金計画を立てると、当てにしていたお金が入ってこないことになります。この記事では、廃業時の中退共の扱いを整理します。

掛金は「事業主のお金」ではない

最初に押さえるべき点はこれです。中退共に納めた掛金は、事業主の手元には戻りません。制度の性質上、積み立てられた資産は従業員のためのものであり、退職時に従業員本人へ直接支払われます。

「会社を畳むのだから、積立金を解約して運転資金にあてよう」と考える方がいますが、それはできない仕組みです。廃業を機に返金される性質のお金ではないと理解しておいてください。逆にいえば、この分は資金繰りの計算から外して考える必要があります。

従業員には、事業主を通さず支払われる

退職金は、事業主が受け取って従業員に渡すのではなく、共済から従業員本人の口座へ直接支払われます。これが中退共の大きな特徴です。

そのため、廃業で会社にお金が残っていなくても、積み立てた分の退職金は従業員に確実に届きます。賃金の未払いが起きるような状況でも、この部分は守られます。事業主の側から見れば、せめてこれだけは払えるという安心材料になります。

事業主がやるべきことは、退職の届出を提出し、従業員に請求のための書類を渡すことです。ここで手を止めると、従業員は請求の手続きを始められません。会社が無くなる前に済ませてください。

建退共とは別の制度

建設業では、中退共と建退共(建設業退職金共済)の両方の名前を聞きます。混同されやすいので違いを整理します。

中退共 建退共
対象 中小企業の従業員全般 建設現場で働く労働者
掛金の納め方 毎月、口座振替など 働いた日数に応じて証紙を貼る方式が中心
誰が請求するか 退職した従業員本人 同じく本人
事業主への返金 なし なし

両方に加入している事業所もあります。片方だけ手続きして安心しないよう、どちらに入っているかを契約書類で確認してください。建退共の扱いは建退共(建設業退職金共済)は廃業時どうする?退職金は誰が払うのかにまとめています。

加入しているか分からないときの確かめ方

先代から引き継いだ事業では、自分が加入手続きをしていないため、そもそも入っているのかどうか分からないということがあります。次の3つで確認できます。

  • 通帳の引き落とし——掛金が毎月引き落とされていれば、そこに名称が出ます。1年分さかのぼって記帳してください
  • 加入者証・共済契約者証——事務所の書類棚や金庫にあることが多い書類です
  • 共済の窓口に問い合わせる——事業所名と所在地から確認してもらえます

加入していたのに手続きをしないまま会社を畳むと、従業員が受け取れるはずの退職金にたどり着けなくなります。心当たりがなくても、通帳だけは確認しておいてください。

廃業前にやっておくこと

  • 加入している従業員の一覧を確認する——退職の届出は人数分必要です
  • 共済手帳や加入者証の所在を確かめる——請求の際に必要になります。事務所を片づける前に探してください
  • 掛金の納付が滞っていないか確認する——未納があると、その分は退職金に反映されません
  • 従業員に制度の説明をする——本人が請求しなければ受け取れません。「会社が全部やってくれる」と思っている従業員もいます

とくに最後の点が大切です。会社が無くなった後、従業員が自分で請求することになります。そのときに何をすればいいのかを伝えておかなければ、受け取り損ねることがあります。従業員への対応全般は工務店が廃業するとき従業員はどうなる?解雇・退職金・転職支援の対応方法にまとめています。

よくある質問

退職金の規程がないのですが、中退共の分だけ払えばいいですか?
退職金の支払い義務があるかどうかは、就業規則や労働契約の内容によります。中退共はあくまで積み立ての手段であり、それとは別に規程で退職金を約束している場合、その差額を求められることがあります。規程の有無と内容を確認し、判断に迷う場合は社会保険労務士に相談してください。
従業員が同業他社に転職する場合、積み立てを引き継げますか?
転職先も中退共に加入していれば、これまでの掛金納付月数を通算できる仕組みがあります。従業員にとっては受け取る額に関わる話なので、転職先が決まっている場合は伝えてあげてください。手続きには期限があるため、退職時に案内しておくのが親切です。
掛金の納付が数か月滞っています。どうなりますか?
納めていない期間は積み立てに反映されません。資金繰りが苦しくても、従業員の退職金に直結する部分なので、可能な限り納付を続けるか、難しければ早めに機構へ相談してください。滞納したまま廃業すると、従業員が受け取る額が想定より少なくなります。
事業主本人や、その家族は中退共に入れますか?
事業主本人や、役員は原則として加入できません。事業主自身の退職金を用意する制度としては、小規模企業共済が別に用意されています。こちらは廃業そのものが受け取りの事由になり、まとまった額を受け取れることがあります。従業員の退職金と混同しないよう、それぞれ確認してください。

あわせて読みたい

共済の取り扱いは制度改正や加入状況によって変わります。この記事は仕組みを整理したものなので、実際の手続きは加入している共済の窓口に確認してください。

会社に現金が残っていなくても、中退共に積んだ分だけは従業員に届きます。事業主にできる最後のことは、その請求方法を本人に伝えておくことです。書類を渡すのは、会社があるうちにしかできません。

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廃業の手続き
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地方出身・都心在住。数年以内に実家の事業を「廃業・承継・Iターン」のどれにするか決断を迫られている当事者です。自分が調べた廃業の手続き・お金・資産整理の情報を、国税庁など公式情報を確認しながら記録・整理しています。※税理士・弁護士などの専門家ではないため、具体的な判断は各専門家・行政窓口へご相談ください。

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