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建退共(建設業退職金共済)は廃業時どうする?手続きと「退職金は誰が払うのか」を解説

【行政・法務手続き】

建設業を廃業するとき、従業員や職人への退職金は経営者にとって重い問題です。しかし建退共(建設業退職金共済)に加入していた場合、その分の退職金は事業主が用意する必要がありません。この仕組みを知らないまま「退職金が払えない」と悩んでいるケースは意外と多くあります。

この記事では、廃業時の建退共の手続きと、事業主・労働者それぞれが何をすべきかを解説します。

📋 この記事でわかること
・建退共とは何か(中退共との違い)
・退職金は誰が誰に払うのか
・廃業時に事業主がやる手続き
・共済手帳を必ず本人に渡すべき理由
・労働者が退職金を受け取る条件
・一人親方が加入していた場合

建退共とは——退職金を「国の制度」で積み立てる仕組み

建退共(建設業退職金共済)は、建設現場で働く人のために国が設けた退職金制度です。事業主が共済契約者となって掛金を納付し、労働者が建設業界を退職するときに、建退共本部から直接退職金が支払われます

項目内容
運営独立行政法人 勤労者退職金共済機構(建退共事業本部)
掛金を払う人事業主(共済契約者)
退職金を払う人建退共本部(事業主ではない)
対象建設現場で働く労働者(現場作業員)
ポイント会社が変わっても業界内で通算される

中退共(中小企業退職金共済)とは別の制度で、建退共は「建設業界全体で通算される」のが最大の特徴です。A社からB社へ移っても、業界内で働き続ける限り積立期間は引き継がれます。

最大のポイント:退職金は事業主が払うのではない

ここが廃業を控えた経営者にとって重要な点です。

💡 建退共の退職金は、事業主ではなく建退共本部から労働者本人へ直接支払われます。つまり掛金をきちんと納付してきたのであれば、廃業時に事業主が退職金の原資を用意する必要はありません
「退職金が払えないから廃業できない」と悩んでいる場合、まず建退共の加入状況を確認してください。

なお建退共でカバーされるのは加入・納付していた期間の分だけです。会社独自の退職金規程がある場合は、その部分は別途の問題になります。退職金の相場や資金不足時の考え方は工務店を廃業する際、従業員に「退職金」はいくら払うべき?で解説しています。

廃業時に事業主がやる手続き

① 共済契約の解除(解約)を届け出る

事業を廃止する場合、共済契約者としての契約を解除する手続きが必要です。建退共の都道府県支部に連絡し、所定の届出(共済契約解除の申込など)を提出します。様式や必要書類は支部で確認してください。

② 未納の掛金を精算する

掛金の納付が済んでいない期間があれば、廃業前に精算しておくのが原則です。ここを放置すると、労働者の積立月数が不足し、本来受け取れるはずの退職金が減ってしまいます。

③ 共済手帳を必ず本人に渡す

これが実務上、最も忘れられがちで最も重要な点です。

⚠️ 共済手帳(または加入状況が分かる書類)は労働者本人のものです。会社に保管したまま廃業して連絡が取れなくなると、労働者が退職金を請求する際に手間がかかります。
退職金の請求は本人が建退共に対して行うため、手帳が手元にないと本人が困ります。廃業時には必ず本人に返却し、「退職金は自分で建退共に請求すること」を伝えてください。

従業員への対応全般については工務店が廃業するとき従業員はどうなる?もあわせてご覧ください。

労働者が退職金を受け取る条件

従業員から「自分はいくらもらえるのか」と聞かれることがあります。基本的な考え方は次のとおりです。

  • 掛金の納付月数が24ヶ月(2年)以上あれば退職金が支給される
  • 12ヶ月未満の場合は原則として支給されない(掛金は掛け捨てになる)
  • 12ヶ月以上24ヶ月未満は、掛金相当額よりも少ない額となる扱い
  • 請求は本人が建退共本部へ行う(事業主が代わりに請求するものではない)
  • 建設業界を辞めることが前提:他社に移って働き続ける場合は通算される

正確な金額は納付月数と掛金日額によって変わるため、本人が建退共に照会するのが確実です。事業主が概算を伝えて後で食い違うと、トラブルの元になります。

一人親方が加入していた場合

一人親方も、任意組合を通じて建退共に加入している場合があります。この場合、本人が共済契約者であり、かつ被共済者という立場になります。

引退・廃業する際は、加入している任意組合または建退共支部に手続きを確認してください。一人親方の保険関係全般の整理は一人親方が廃業するときの保険手続きにまとめています。

従業員の保険と自分の保険は分けて考える

建退共の手続きと並行して、従業員の社会保険の資格喪失、そして経営者自身の保険の切り替えが必要になります。どれも期限が短いので、順番を決めて片づけてください。手続きが多くて手が回らない場合は、社会保険労務士に依頼する方法もあります。

あわせて確認したい、従業員関連の手続き

建退共の手続きと同時期に、次の対応も必要になります。スケジュールをまとめて組むと効率的です。

  • 雇用保険の資格喪失届・離職票の交付:従業員の失業給付に直結する
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失手続き
  • 労働保険の確定精算:概算で納付していた分を精算する
  • 解雇予告:原則30日前までの予告、または解雇予告手当
  • 建設業許可の廃業届記載例つきの解説はこちら

⚠️ 建退共の制度内容・様式・支給要件は改定されることがあります。実際の手続きにあたっては、建退共事業本部または都道府県支部の最新情報をご確認ください。

よくある質問

Q. 掛金を払っていない期間がありますが、今から遡って納付できますか?

A. 取り扱いは状況によって異なるため、建退共支部に相談してください。労働者の受給に直結するため、廃業前に確認しておくことをおすすめします。

Q. 廃業後に従業員から「退職金が振り込まれない」と連絡が来ました。

A. 建退共の退職金は本人が請求して初めて支払われる制度です。請求手続きをしていない可能性が高いため、建退共本部への請求方法を案内してください。

Q. 従業員が次も建設業で働く場合はどうなりますか?

A. 建設業界内で働き続ける場合、共済手帳を次の会社に持っていけば積立が通算されます。この場合は退職金の請求ではなく、手帳を引き継ぐ形になります。

まとめ

  • 建退共の退職金は建退共本部から労働者へ直接支払われる
  • つまり廃業時に事業主が原資を用意する必要はない
  • 事業主がやるのは契約の解除届・未納掛金の精算・共済手帳の返却
  • 共済手帳は必ず本人に渡す——請求は本人が行うため
  • 受給には納付月数24ヶ月以上が目安。金額は本人が建退共に照会
  • 雇用保険・社会保険・労働保険の手続きとまとめて進めると効率的

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