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廃業後も事業用の車や工具を自分で使いたい|家事転用の手続きと税金

廃業するからといって、事業で使っていたものをすべて手放す必要はありません。軽トラは畑仕事に使いたい。パソコンは家で使う。工具は自宅の修繕に残しておきたい。ごく自然な話ですが、帳簿の上では「事業用の資産を私用に移す」という処理が必要になります。

この処理を家事転用と呼びます。売るわけではないのに税金の話が出てくるため、見落とされやすい部分です。この記事では、廃業のときに手元へ残す資産をどう扱えばよいかを整理します。

売る・譲る・自分で使う、で扱いが違う

まず、資産を手放す方法によって処理が変わります。ここを混同すると、申告の段階でつまずきます。

方法 お金の動き 帳簿上の扱い
業者に売る 入ってくる 売却として処理する
知人に譲る(無償) 動かない 時価を基準に扱う。贈与の論点も出る
自分で使い続ける 動かない 家事転用として処理する
廃棄する 出ていく 除却として処理する

「お金が動いていないから何もしなくていい」とはなりません。事業の資産が事業から出ていったことを、帳簿に記録する必要があります。

売る場合の考え方は工務店・建設業廃業の資産売却完全ガイド|トラック・重機・農機具・土地を高く売る方法に、無償で譲る場合の落とし穴は「古いトラックは若い衆にタダで譲る」廃業する親の美談に潜む税務リスクにまとめています。

家事転用でつまずきやすいのは消費税

所得税の側では、帳簿から資産を落とす処理をすることになります。実務で問題になりやすいのは、消費税を納める立場だった場合です。

課税事業者だった場合、事業用の資産を私用に移すことが、消費税の計算上は売ったのと同じように扱われる場合があります。お金が入っていないのに消費税だけ発生する、という形になり得ます。

ここは自己判断が危険な領域です。免税事業者だったか課税事業者だったか、簡易課税を選んでいたかで結論が変わります。手元に残す資産がある場合は、必ず税理士か税務署に確認してください。消費税まわりの手続き全般は、届出の期限も含めて早めに整理しておくことをおすすめします。

いくらで評価するか

家事転用では「その時点でいくらの価値があるか」を基準にします。帳簿に残っている未償却の金額と、実際の中古相場のどちらを使うかは状況によります。

実務的に大事なのは、その金額の根拠を残しておくことです。

  • 買取業者の査定額——同じ機種の査定を取っておけば根拠になります
  • 中古市場の相場——同型式の販売価格を控えておきます
  • 帳簿上の残存価額——減価償却の記録から追えます

ここでひとつ、実務として役に立つ動き方があります。手元に残すつもりのものも、いったん査定に出しておくことです。金額の根拠が手に入るうえ、「思ったより高い」と分かれば売る判断に切り替えられます。

法人の場合は「会社から個人が買う」形になる

法人は事情が変わります。会社の資産は会社のものであり、代表者個人のものではありません。個人が使い続けたいなら、会社から個人へ譲り渡す形を取ることになります。

このとき、あまりに安い金額で譲ると、その差額が役員に対する給与のような扱いを受けることがあります。「自分の会社だから好きな値段でよい」とはなりません。清算の手続きとも関わるため、順序を含めて専門家に相談してください。手順は工務店・建設会社の解散登記の手順|法人廃業の流れ・費用・清算結了まで完全解説を参照してください。

車両については名義の問題が別にあります。詳しくは社用車を廃業後も個人で乗り続けるには?名義変更の手順と「清算前にやるべき」理由にまとめています。

残すか売るかの判断

気持ちとしては残したくても、持ち続けること自体に費用がかかるものがあります。

  • 車両——税金・保険・車検が毎年かかります
  • 重機——置き場所が要り、動かさないと傷みます
  • 工具——維持費はほぼかからないので、残しやすい部類です

とくに重機は、置いたままにすると盗難の対象になります。使う予定が具体的にないなら、売るほうが結果的に損が少ないことが多いです。放置のリスクは【要注意】廃業した資材置き場にユンボを放置する最大の危険「重機盗難」にまとめています。

よくある質問

もう価値がゼロの古い工具でも、処理は必要ですか?
帳簿上すでに償却が終わっているものであれば、処理は簡単になります。ただし「何を残したか」の記録は付けておいてください。後から税務上の確認を受けたときに、説明できる状態にしておくためです。金額の大小より、記録があるかどうかが問われます。
軽トラを農作業に使い続けます。事業用のままではだめですか?
事業をやめている以上、事業用として持ち続けることはできません。私用に移す処理をしたうえで、名義や保険の区分も実態に合わせてください。そのままにしておくと、保険の適用や税金の区分でずれが生じます。
残したものを、あとから売ったらどうなりますか?
家事転用したあとは私物なので、事業の売上にはなりません。ただし物によっては、譲渡所得として扱われることがあります。高額なものを短期間で売る場合はとくに、事前に確認しておいてください。
廃業前に売るのと、残してから売るのでは違いますか?
扱いが変わります。廃業前なら事業の資産の売却、廃業後なら私物の売却として扱われます。金額が大きい資産ほど差が出るため、重機や車両を売る予定があるなら、廃業日との前後関係を先に相談してください。

あわせて読みたい

家事転用の扱い、とくに消費税との関係は個々の状況で結論が変わります。この記事は論点を整理したものなので、金額に関わる判断は必ず税理士または税務署に確認してください。

手元に残したいものがあるのは自然なことです。ただ「お金が動いていないから何もしなくていい」という思い込みだけは避けてください。残すと決めたものこそ、査定を取って金額の根拠を作っておくと、後の説明が楽になります。

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廃業の手続き
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地方出身・都心在住。数年以内に実家の事業を「廃業・承継・Iターン」のどれにするか決断を迫られている当事者です。自分が調べた廃業の手続き・お金・資産整理の情報を、国税庁など公式情報を確認しながら記録・整理しています。※税理士・弁護士などの専門家ではないため、具体的な判断は各専門家・行政窓口へご相談ください。

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