※本記事はプロモーションを含みます

廃業時の固定資産売却の勘定科目|個人事業主と法人で違うところ

資産を売った処理を帳簿に入れようとして、どの科目を使えばよいか分からず止まる。会計ソフトを開いても候補が多く、どれが自分の場合に当たるのか判断がつかない。しかも調べると、個人事業主向けの説明と法人向けの説明で書いてあることが違い、さらに直接法と間接法という言葉が出てきて混乱する。廃業の年は資産をまとめて処分するため、この処理が何件も発生します。この記事では、分かれ目がどこにあるかを整理します。具体的な処理は事情で変わるため、判断の前に税理士か税務署にご確認ください。

個人事業主と法人で、そもそも扱う場所が違う

最初の分かれ目はここです。同じ「機械を売った」でも、どの区分で計算するかが違います。

法人 個人事業主
損益の扱い 他の損益とあわせて計算されるのが基本 事業の所得とは別の区分で扱われることがある
よく使われる科目 固定資産売却益/固定資産売却損 事業の帳簿には損益を計上しない扱いになる場合がある
申告での書き方 決算書に反映 別の欄で計算することがある

個人事業主の欄が分かりにくいところです。事業で使っていた資産を売ったのに、事業の売上として処理しない場合がある。ここを知らないまま事業所得に入れてしまうと、後で直すことになります。

自分がどちらなのか分からない場合は、一人親方の廃業手続きを完全解説|廃業届・建設業許可・社会保険・確定申告の流れで確かめてください。親の事業を引き継いで整理している場合、ここが曖昧なまま進んでいることがあります。

直接法と間接法

減価償却の記録の仕方に2つの方式があり、それによって売却時の書き方も変わります。

  • 直接法——資産の金額から償却分を直接引いていく。帳簿には残った価額だけが載る
  • 間接法——資産の金額はそのままにして、償却した分を「減価償却累計額」として別に積む

間接法の場合、売却の処理でこの累計額を取り消す作業が必要になります。ここを忘れると、資産が帳簿に残ったままになります。

どちらを使っているかは、これまでの帳簿を見れば分かります。「減価償却累計額」という科目があれば間接法です。会計ソフトを使っている場合、設定で決まっているので途中で変えないでください。

売却益・売却損は「差額」として現れる

科目の名前に迷いますが、考え方は単純です。売った金額と、帳簿に残っている価額の差が、益または損として現れます。

古い機械は償却が進んでいて帳簿価額がわずかしか残っていないことが多く、安く売っても益が出る状態になりやすい。逆に、まだ償却の途中で高く買ったものを安く手放すと損が出ます。

廃業の年は複数の資産を処分するため、益が出るものと損が出るものが混在します。1台ずつ計算したうえで、全体としてどうなるかを見ることになります。

売らずに捨てた場合は「除却」

買い手がつかず、処分費を払って引き取ってもらった資産もあるはずです。この場合は売却ではなく除却として扱われます。

帳簿価額が残っていれば、それが損失として現れるのが基本です。ここで大事なのは処分した証拠を残すことで、産廃業者の受領書やマニフェストの控え、処分費の領収書が根拠になります。

「捨てた」という事実は、書類が無いと示せません。片づけの段階から意識してください。仕分けの順序は廃業時の在庫・材料・工具の処分方法|産廃で損せず現金化する仕分けと順序を解説にまとめています。

まとめて売ったときは1台ずつ

買取業者に何台もまとめて引き取ってもらい、合計額で入金される。これはよくある形ですが、帳簿上は資産ごとに処理が必要です。資産ごとに帳簿価額が違うためです。

明細を品目別に分けてもらえるか、売却の前に業者へ依頼してください。後から分けるのは困難です。売却の進め方そのものは工務店・建設業廃業の資産売却完全ガイド|トラック・重機・農機具・土地を高く売る方法を参照してください。

さらに、廃業の年は件数そのものが多くなります。通常なら年に1〜2件ですが、機械・車両・工具を一度に処分するため同じ処理が何件も並びます。件数が多いと途中で書き方がぶれるので、最初の1件を丁寧に作り、それを型にして残りを揃えるのが確実です。処分の全体像を先に把握しておくと件数の見当がつきます。廃業を決めたら最初にやる「棚卸し」|資産・負債・契約を1枚に書き出す手順で資産の一覧を作ってから処理に入ってください。

会計ソフトの科目名は事務所ごとに違うことがある

顧問税理士がいた場合、その事務所の方針で科目名や処理の仕方が決まっていることがあります。調べた一般的な処理と、いまの帳簿の書き方が違うということが起こります。

この場合、いまの帳簿に合わせるほうが整合します。過去の分と処理が揃っていないと、後から見たときに追えなくなるためです。迷ったら、これまでどう処理していたかを見るのが確実です。

よくある質問

個人事業主です。売却益を事業の売上に入れてよいですか。
事業用資産の売却は事業の所得とは別の区分で扱われることがあります。入れてよいかは資産の種類や状況によるため、税理士か税務署に確認してください。
減価償却累計額が帳簿にあります。
間接法で記録されています。売却の処理では累計額を取り消す作業が必要になるのが基本です。忘れると資産が帳簿に残ったままになります。
処分費を払って捨てました。売却損になりますか。
売却ではなく除却として扱われるのが基本です。帳簿価額が残っていればそれが損失として現れます。処分したことを示す書類を必ず残してください。
まとめて売って合計額しか分かりません。
資産ごとに帳簿価額が異なるため、原則として個別に処理します。業者に品目別の明細を出してもらえないか相談してください。

まとめ

固定資産の売却は、個人事業主か法人か、直接法か間接法かという2つで処理の形が決まります。そのうえで、売った金額と帳簿価額の差が益または損として現れる。売らずに捨てたものは除却として別に扱う。

迷ったときは、これまでの帳簿がどう書かれているかを見るのがいちばん確実です。過去と揃っていれば、後から追えます。

この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の事案に対する税務上の助言ではありません。使用する科目や処理の方法は、事業の形態・記帳の方式・これまでの処理によって変わります。判断の前に、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

帳簿の科目は、あとから誰かが読むためにあります。自分だけが分かる書き方より、これまでと同じ書き方のほうが、たいてい正しい。

廃業手続き、何から始めるか分かりますか?

5つの質問に答えるだけで、あなたに必要な廃業タスクを自動で洗い出し。届出・税務・片付けまで網羅。無料・登録不要。

Uncategorized
シェアする

地方出身・都心在住。数年以内に実家の事業を「廃業・承継・Iターン」のどれにするか決断を迫られている当事者です。自分が調べた廃業の手続き・お金・資産整理の情報を、国税庁など公式情報を確認しながら記録・整理しています。※税理士・弁護士などの専門家ではないため、具体的な判断は各専門家・行政窓口へご相談ください。

親の廃業リサーチメモ 運営をフォローする