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建設業許可は廃業せず引き継げる|事業承継・相続の認可申請と2020年改正のポイント

親が持っている建設業許可を、廃業届で手放してしまう前に確認したいことがあります。許可は一代限りのもので、代が替われば取り直すしかない——長くそう受け止められてきました。ところが2020年10月の法改正で、事前に認可を受ければ許可そのものを引き継げる制度が設けられています。譲渡でも、相続でも使えます。取り直しになると空白の期間が生まれ、その間は請け負える工事の額が制限されます。引き継ぐ道が残っているなら、廃業届を出す順番はその後です。この記事では、承継の3つの形と、見落とすと間に合わなくなる期限を整理します。

廃業届を出す前に、許可を引き継ぐ道がある

従来は、事業を譲り受けた側や相続した側があらためて新規で許可を取り直す必要があり、許可が下りるまでの間は建設業許可が無い状態になっていました。この空白を埋めるために設けられたのが、承継の認可制度です。

認可を受けて承継すれば、許可番号や許可の有効期間の考え方を引き継いだうえで、空白期間なく事業を続けられるとされています。逆にいえば、先に廃業届を出してしまうと、この制度は使えません。順番を間違えると取り返しがつかないのがこの手続きの特徴です。

そもそも許可を続けるべきか迷っている段階なら、建設業許可は更新しないとどうなる?廃業届を出す場合との違いと判断基準で、更新しない場合との比較を先に見ておくと判断しやすくなります。

引き継げる形は3つある

承継として認められる形は、大きく次のように整理されます。どれに当てはまるかで、申請の時期がまるで変わります。

形 あてはまる場面 認可申請の時期
事業譲渡 他社や後継者へ事業を引き渡す 効力が生じる日より前に認可を受ける
合併・分割 法人どうしを一つにする、切り分ける 効力が生じる日より前に認可を受ける
相続 個人事業主が亡くなった 死亡から30日以内に申請する

譲渡・合併・分割は事前の認可、相続だけが事後の申請という違いがあります。相続は前もって備えられないので、期限を短く区切ったうえで、認可されれば亡くなった日にさかのぼって承継したものとして扱う形が採られています。

相続の30日は、思うより短い

実務でいちばん問題になるのがここです。個人事業主が亡くなったあと、遺族は葬儀や役所の手続きに追われます。事業をどうするかを家族で話し合ううちに、30日はあっという間に過ぎます。

しかもこの期間内に、相続人のうち誰が事業を引き継ぐのかを決め、その人が許可の要件を満たすことを示す書類を揃える必要があります。迷っている時間はほとんど残らないと考えておくほうが安全です。

期限を過ぎた場合、承継の認可は使えず、新規で許可を取り直す流れになるとされています。事業を続ける意思があるなら、亡くなった直後の段階で許可行政庁へ連絡し、間に合うかどうかを確認してください。

認可の要件は、新規で許可を取るときとほぼ同じ

「引き継ぐだけだから簡単」ということはありません。承継を受ける側が、建設業許可の要件を満たしているかが審査されます。おおむね次の点が見られます。

  • 経営業務の管理を担える人がいるか:経営に関する一定の経験が求められます
  • 専任技術者を置けるか:業種ごとに、資格または実務経験が必要です
  • 財産的な基礎があるか:一定の自己資本や資金調達力が見られます
  • 欠格に当たらないか:役員等の経歴に関する要件です

親が一人で要件を満たしていた場合、その親がいなくなると誰も要件を満たさない、という事態が起こり得ます。実際にはここで承継を断念するケースが少なくありません。要件を満たす人材を確保できるかどうかが、事実上の分かれ目になります。

なお、承継元と承継先の両方が許可を持っていて業種が重なる場合など、組み合わせによって制限がかかることがあります。自社の状況が該当するかは、許可行政庁(知事許可なら都道府県の担当課、大臣許可なら地方整備局)に事前相談してください。

引き継がないと決めたら、廃業届に進む

要件を満たせない、引き継ぐ人がいない、事業をたたむと決めた——その場合は通常どおり廃業の手続きに移ります。届出の書き方は建設業許可の廃業届の書き方と記載例|様式第22号の4の記入例つきにまとめています。

また、引き継ぐ相手が身内にいなくても、第三者へ事業ごと譲る道は残っています。建設業の事業承継・M&A入門|後継者がいなくても廃業前に検討すべき「会社を売る」選択肢で、譲渡という選択肢の全体像を確認できます。廃業と承継のどちらを選ぶかで迷っている段階なら、工務店を廃業すべきか事業承継すべきか迷ったときの判断基準【チェックリスト付き】が判断の材料になります。

よくある質問

許可番号はそのまま引き継げますか。
承継の認可を受けた場合、許可を引き継いだものとして扱われるのが原則です。ただし番号や有効期間の具体的な扱いは事案によって異なるため、申請前に許可行政庁へ確認してください。
父が亡くなってから2か月が経ちました。もう間に合いませんか。
相続による承継の申請は死亡から30日以内とされているため、期間を過ぎている可能性があります。事業を続けるなら新規の許可申請という流れになることが多いので、まずは許可行政庁に現状を伝えて相談してください。
個人事業を法人化して引き継ぐ場合も承継にあたりますか。
個人から法人への事業譲渡として、承継の認可の対象になり得ます。事前の認可が必要なため、法人設立と許可の切り替えの順序を含めて、早い段階で相談することをおすすめします。
認可の申請は自分でできますか。
制度上は本人申請も可能ですが、要件の証明資料が多く、期限も短い手続きです。とくに相続の場合は行政書士など専門家の支援を受けたほうが確実です。

まとめ

建設業許可は、事前に認可を受ければ譲渡・合併・分割・相続によって引き継げます。譲渡や合併は効力が生じる前に、相続は亡くなってから30日以内に動く必要があります。どちらも「気づいたときには手遅れ」になりやすい期限です。

引き継ぐ意思が少しでもあるなら、廃業届を出す前に許可行政庁へ相談してください。順番を逆にすると、この制度は使えなくなります。

この記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案に対する法的な助言ではありません。制度の運用や必要書類は許可行政庁によって扱いが異なることがあります。判断の前に、都道府県の建設業担当課・地方整備局といった公的な窓口や、行政書士・弁護士に確認してください。

許可は紙一枚に見えて、その裏には親が積み上げてきた年数が入っています。引き継ぐにせよ返すにせよ、決めるのは家族の側です。ただ、決めるための時間だけは制度が区切っている——そのことは知っておいてください。

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地方出身・都心在住。数年以内に実家の事業を「廃業・承継・Iターン」のどれにするか決断を迫られている当事者です。自分が調べた廃業の手続き・お金・資産整理の情報を、国税庁など公式情報を確認しながら記録・整理しています。※税理士・弁護士などの専門家ではないため、具体的な判断は各専門家・行政窓口へご相談ください。

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