※本記事はプロモーションを含みます

廃業日はいつにすればいい?決算期・税金・社会保険から逆算する決め方

廃業届には「廃業した日」を書く欄があります。ここに何を書くか、深く考えずに提出してしまう人が少なくありません。ところがこの日付ひとつで、納める税金も、払う保険料も変わります。しかも一度提出すると、あとから都合のいい日に変えることはできません。

この記事では、廃業日をどう決めればよいかを、税金・社会保険・実務の3方向から整理します。個人事業と法人で考え方が違うので、そこも分けて解説します。

廃業日とは「事業をやめた日」であって、届出を出した日ではない

まず前提の確認です。廃業日は、届出書を提出した日ではありません。実際に事業をやめた日を自分で決めて記入します。届出の提出はその後になります。

ただし「自分で決められる」といっても、実態とかけ離れた日付は書けません。売上が立っている期間を「もうやめていた」とすることはできません。最後の入金や最後の作業日を踏まえて、無理のない日を選ぶことになります。

届出書そのものの書き方は個人事業の廃業届の書き方【記入例つき】|提出先・期限・同時に出す書類を解説にまとめています。

個人事業|月の途中か月末かで社会保険料が変わる

個人事業主が国民健康保険・国民年金から別の制度へ移る場合、月末時点でどちらに属しているかが、その月の保険料を決めます。廃業して家族の扶養に入る、あるいは就職して社会保険に入る、という場合はここが効いてきます。

廃業日 その月の扱い 向いているケース
月末 その月まで従来の制度 次の加入先が翌月からと決まっている
月の途中 切り替えのタイミングによる すぐ就職先が決まっている
12月31日 その年で区切りがつく 確定申告を1年単位でそろえたい

「二重に払う」「どちらにも入っていない期間ができる」のどちらも避けたいので、次にどの制度へ入るかを決めてから廃業日を決めてください。順番が逆になると、空白期間が生まれます。保険の切り替えは廃業後の健康保険はどうなる?国保・任意継続・扶養の選び方と手続きをわかりやすく解説を参照してください。

個人事業|12月31日にそろえると申告が楽になる

個人事業の所得税は1月1日から12月31日で区切ります。年の途中で廃業しても、その年の1月からの分をまとめて確定申告することに変わりはありません。

ただし年末に近い時期の廃業なら、12月31日を廃業日にすると帳簿の締めが1年分でそろいます。年をまたいで少しだけ売上が残ると、翌年もう一度申告が必要になります。数万円の売上のために申告を1回増やすのは、手間として割に合いません。

廃業年の申告で注意すべき点は工務店廃業後の確定申告ガイド|個人事業主が廃業年にやるべき税務手続きにまとめています。

法人|解散日は決算期と切り離して考える

法人の場合、話が変わります。解散した日で事業年度がいったん区切られ、そこから清算の事業年度が始まります。もともとの決算期とは関係なく、解散日が新しい区切りになります。

つまり法人は「決算期に合わせないと損」ということはありません。むしろ次の点で考えるほうが実務的です。

  • 受注済みの工事が終わってから——契約が残ったまま解散すると処理が複雑になります
  • 役員報酬の支払いを整理してから——中途半端な時期だと源泉の処理が煩雑になります
  • 登記の予定と合わせて——解散登記には期限があります

法人の手順は工務店・建設会社の解散登記の手順|法人廃業の流れ・費用・清算結了まで完全解説に、申告については法人(会社)の廃業・解散後の確定申告ガイド|清算事業年度と最後の申告にまとめています。

避けたほうがよい時期

税や保険の理屈とは別に、実務として避けたい時期があります。

  • 年末年始・大型連休の直前——役所が閉まり、期限のある届出が出せません
  • 繁忙期のただ中——取引先への引き継ぎが雑になります
  • 資産を売る前——廃業後に売ると税務上の扱いが変わることがあります

最後の点は見落とされがちです。重機や車両を売る予定があるなら、廃業日との前後関係を税理士に確認してから決めてください。資産の処分については工務店・建設業廃業の資産売却完全ガイド|トラック・重機・農機具・土地を高く売る方法を参照してください。

よくある質問

廃業日を過去の日付にして提出できますか?
実態としてその日にやめていたのであれば、さかのぼって記入すること自体は行われています。ただし届出には提出期限があり、遅れると指摘を受けることがあります。また、売上や経費がその後も動いていると、実態と合わないと見なされます。日付を都合よく操作する目的で使わないでください。
廃業日を決めたあとに、追加の入金がありました。どうなりますか?
廃業日より前の仕事に対する入金であれば、その年の売上として処理するのが基本です。入金日ではなく、いつの仕事に対する対価かで判断します。売掛金の回収が長引きそうなら、その見込みも踏まえて廃業日を決めておくと処理が楽になります。
建設業許可の廃業届も、同じ日付でよいですか?
そろえておくのが自然です。ただし許可の廃業届には提出期限があり、税務署への届出とは窓口も期限も別です。日付をそろえたうえで、それぞれの期限内に出してください。許可の届出は建設業許可の廃業届の書き方と記載例|様式第22号の4の記入例つきにまとめています。
まだ迷っているのですが、とりあえず廃業日を決める必要はありますか?
決めきれないうちに届出を出す必要はありません。再開の可能性があるなら、廃業ではなく休業という形もあります。違いは廃業と休業(休眠会社)の違い|すぐ畳まずに様子を見るという選択肢にまとめているので、判断がつかない段階ならこちらを先に読んでください。

あわせて読みたい

税や社会保険の扱いは個々の事情で変わり、制度も見直されます。この記事は考え方を整理したものなので、金額に関わる判断は税理士または所轄の窓口に確認してください。

廃業日は、書類の空欄を埋めるための数字ではありません。次にどの保険に入るか、資産をいつ売るか、最後の入金がいつかを並べて、そこから決まるものです。順番を逆にしないでください。

廃業手続き、何から始めるか分かりますか?

5つの質問に答えるだけで、あなたに必要な廃業タスクを自動で洗い出し。届出・税務・片付けまで網羅。無料・登録不要。

廃業の準備
シェアする

地方出身・都心在住。数年以内に実家の事業を「廃業・承継・Iターン」のどれにするか決断を迫られている当事者です。自分が調べた廃業の手続き・お金・資産整理の情報を、国税庁など公式情報を確認しながら記録・整理しています。※税理士・弁護士などの専門家ではないため、具体的な判断は各専門家・行政窓口へご相談ください。

親の廃業リサーチメモ 運営をフォローする