工務店の廃業が決まったら、建設業許可を持っている場合は「廃業届」を都道府県または国土交通省に提出する義務があります。提出を怠ると過料が科される可能性があり、また提出のタイミングや記載内容を間違えると手続きが滞ることもあります。
この記事では、建設業許可の廃業届に必要な書類・記載内容・提出先・期限を、実際に手続きを進める方が迷わないよう詳しく解説します。
建設業許可の廃業届とは
建設業許可の廃業届は、建設業法第12条・第11条に基づく届出です。許可を受けた建設業者が廃業・解散・合併などの理由で事業を終了する場合、一定の期限内に届け出ることが義務付けられています。
廃業届を提出することで、建設業許可が正式に抹消されます。逆に言えば、廃業届を出さない限り、書類上は許可が有効なまま残り続けるため、更新時期になると更新手続きの通知が届くなど、混乱が生じることがあります。
廃業届が必要になるケース
以下のいずれかの事由が発生した場合、廃業届の提出が必要です。
| 届出事由 | 届出義務者 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 個人事業主が廃業した | 本人(または相続人) | 廃業後30日以内 |
| 法人が解散した | 清算人 | 解散後30日以内 |
| 法人が合併により消滅した | 役員であった者 | 合併後30日以内 |
| 法人が破産手続き開始決定を受けた | 破産管財人 | 決定後30日以内 |
| 許可を受けた個人事業主が死亡した | 相続人 | 死亡後30日以内 |
一般的な工務店の廃業では「個人事業主が廃業した」または「法人が解散した」のいずれかに該当します。いずれも廃業・解散の日から30日以内が提出期限です。
廃業届の提出先:知事許可か大臣許可かで変わる
建設業許可には「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の2種類があります。どちらの許可かによって提出先が異なります。
| 許可の種類 | 対象 | 提出先 |
|---|---|---|
| 都道府県知事許可 | 1つの都道府県のみに営業所がある | 許可を受けた都道府県の建設業担当窓口 |
| 国土交通大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所がある | 主たる営業所を管轄する地方整備局等 |
多くの中小工務店は「都道府県知事許可」です。許可証に「○○県知事許可」と記載されていれば、その都道府県の建設業担当窓口(土木事務所・県庁の担当部署)に提出します。
提出する書類:様式第二十二号の四
廃業届の様式は「様式第二十二号の四(第二十二条関係)」という書式を使用します。国土交通省のウェブサイトまたは各都道府県の建設業担当窓口で入手できます(多くの都道府県でPDFのダウンロードも可能)。
記載する主な内容
- 届出者の氏名・住所(個人の場合は本人、法人は清算人の氏名・住所)
- 商号または名称(屋号・社名)
- 許可番号(許可証に記載されている番号)
- 許可年月日
- 廃業の理由・事由(「建設業を廃止した」など)
- 廃業年月日(事業を実際に終了した日)
記載時の注意点
- 許可番号は許可証を見ながら正確に記入する(「般-○○第○○号」という形式)
- 廃業年月日は事業を実際に終了した日を記載する。税務署への廃業届と同じ日付にすることが多い
- 許可を複数持っている場合(例:建築工事業と大工工事業の両方)は、すべての許可について届け出る
一緒に提出・返納するもの
廃業届と同時に、以下の書類の提出や返納が求められる場合があります(都道府県によって異なる)。
- 建設業許可証の原本の返納:多くの都道府県で許可証の返納が求められる
- 登録証明書など:特定建設業の場合など、追加書類が必要なケースあり
許可証を紛失している場合は、事前に担当窓口に相談しましょう。紛失の場合でも廃業届の受理はしてもらえますが、紛失理由の説明や始末書の提出を求められる都道府県もあります。
提出の流れ:当日の手順
- 書類の準備:様式第二十二号の四に記入し、許可証原本と一緒に用意する
- 窓口の場所・受付時間を確認:都道府県によって担当窓口(土木事務所・県庁の建設業課など)が異なる。事前に電話で場所と必要書類を確認しておくと安心
- 窓口に持参または郵送:多くの都道府県では窓口持参が原則。郵送対応可能かどうかは事前確認が必要
- 受付・確認:担当者が書類を確認し、受理されれば手続き完了。控えや受付印をもらっておく
事前に電話で確認すること
- 持参する書類の一覧(都道府県によって異なる)
- 郵送での提出が可能か
- 受付時間・担当窓口の場所
- 許可証を紛失している場合の対応
廃業届を出さないとどうなる?
建設業法第12条に基づく廃業届の提出を怠った場合、建設業法第50条により10万円以下の過料が科される可能性があります。また、提出しないままでいると:
- 許可更新の案内が届き続ける
- 書類上は建設業者として登録されたままになる
- 相続・法人清算の手続きで問題が生じることがある
廃業後の手間を最小限にするためにも、廃業日から30日以内に必ず提出しましょう。
廃業届と同時期に行うその他の届出
建設業許可の廃業届と前後して、以下の届出も必要です。スケジュールを合わせて進めると効率的です。
| 届出先 | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 個人事業の廃業届出書 | 廃業後1ヶ月以内 |
| 都道府県税事務所 | 事業廃止申告書 | 廃業後1ヶ月以内 |
| 市区町村 | 廃業の届出 | 廃業後1ヶ月以内 |
| 年金事務所 | 社会保険の適用事業所廃止届 | 廃業後5日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険の適用事業所廃止届 | 廃業後10日以内 |
廃業全体のスケジュールと各届出の時系列については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 工務店廃業の準備はいつから?やることリストと6ヶ月スケジュール完全版
法人の場合:解散登記・清算手続きとの関係
法人(株式会社・合同会社など)として建設業を営んでいた場合、廃業の流れは個人事業主より複雑になります。
- 株主総会で解散決議
- 解散登記(法務局):解散決議後2週間以内
- 清算人の選任・登記
- 建設業許可の廃業届:解散後30日以内
- 債権者への通知・官報公告
- 残余財産の分配
- 清算結了登記
法人の場合、清算手続きが完了するまで法人格が消滅しないため、手続きの順番を間違えないよう、司法書士・税理士に相談しながら進めることをおすすめします。
よくある質問
Q. 許可の有効期限が切れていても廃業届は必要ですか?
A. 建設業許可は5年ごとの更新制で、更新しなければ許可は失効します。許可が失効している場合は廃業届の提出義務はありませんが、念のため管轄の都道府県窓口に確認することをおすすめします。
Q. 廃業届は代理人が提出できますか?
A. 都道府県によって異なりますが、委任状があれば家族や行政書士などの代理人が提出できるケースがほとんどです。事前に担当窓口に確認しましょう。子どもが親の廃業手続きを代わりに行う場合も、委任状を用意すれば対応してもらえます。
Q. 行政書士に依頼すべきですか?
A. 廃業届自体はシンプルな書類で、自分で記入・提出できます。ただし、法人の解散清算手続きや、複数の許可を持っている場合、許可証を紛失している場合などは、行政書士に依頼した方がスムーズに進むケースがあります。費用の��安は数万円程度です。
まとめ:建設業許可の廃業届は30日以内・窓口確認が先決
- 提出期限は廃業・解散から30日以内
- 様式は第二十二号の四。都道府県の建設業担当窓口またはウェブサイトで入手
- 提出先は知事許可なら都道府県窓口、大臣許可なら地方整備局
- 許可証原本の返納が必要な都道府県が多い
- 事前に電話で必要書類・受付場所を確認しておくとスムーズ
- 子どもが代理提出する場合は委任状を用意する
- 建設業・工務店の廃業手続き完全マスターガイド
廃業時の全体の手続きの流れは、以下のロードマップ記事で確認できます。


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